インド大使館のニュースレター ”Indian Connection"(第8号) に

香川県高松市で開催された「野生司香雪展覧会とフォーラム」が紹介されました(和英文)。


Exhibition & Forum on Nosu Kosetsu in September 2020 at Takamatsu City in Kagawa Prefecture, the birthplace of Nosu Kosetsu 

 

Forum: Sept.1st, Tuesday 13:30~15:40 

Exhibition: Sept. 1st~6th, 9:00~17:00

Venue: Kagawa Prefecture Museum

 

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9月上旬に香川県高松市でフォーラムと展覧会を開催予定です。

 

コロナ禍で2月中旬以降のスケジュールがほとんど中止・延期されたまま令和2年は7月下旬になろうとしています。この先も世界中がいつまでこの新型コロナ感染に苦しまされるのか見通しも立たないなどとは、物心ついて60有余年の人生で初めての経験であります。その上、最近の気候変化の激しは各地に予想もつかない大災害をもたらしております。お釈迦様ならこんな時代の生き方をどう説かれるのだろうとかと考えてしまいます。

 

 2000年代前半の4年ほどをインドに過ごしたことがある私は引退後も相変わらずインドと関わりながら過ごしております。その一つにインドでの「釈尊一代記の壁画」修復プロジェクトがございます。ご存知の通り(?)私は宗教・芸術とは縁のない身で、このプロジェクトも「インドに在る世界に誇る日本の文化財を後世にきちんと残したい」という関係者の熱意に促されてのボランティア活動でありますが、まさに仏縁であると感じております。

 

戦前の昭和10年前後に足掛け5年の歳月をかけて、インドの聖地サールナート(鹿野苑)に建立されたばかりの初転法輪寺(解脱した釈尊の最初の説法の地)の本堂に壁画を描いたのは日本人画家・野生司香雪(のうすこうせつ)です。83年を経て落剝・変色が生ずるなど壁画の経年劣化が進む中で、これを保全修復しようという「野生司香雪画伯顕彰会」が画家の生まれ故郷の香川県高松市で立ち上げられ、昨年11月月27日から1217日に第1期工事を終了させました。足掛け3年をかける(合計3回の)修復作業の第1回目であります。

 

来る9月上旬に野生司香雪画伯の生地・香川県高松市で、フォーラムと展覧会が開催される予定です。昨年10月31日にインド大使館でフォーラム(シンポジウム)を開催いたしましたが、同様のフォーラムに加え、香雪の作品展と写真展が開催されます。フォーラムは91日(火)、展覧会は91日(火)~6日(日)の予定です。展覧会の最大の出し物は、福井県・永平寺所蔵のサールナート壁画と原寸大の下絵ですが、香雪がインドから帰国時に持ち帰ったもので、奇跡的な縁により永平寺に保管されています。

 

野生司香雪はインドから帰国後、戦中に信州に疎開し、そのまま戦後亡くなるまで30数年間を信州・渋温泉にすごしましたので、晩年のことは実は信州人がよく知っているそうです。長野の善光寺に壁画を残したこともあり、信濃毎日新聞は立派な図録集「野生司香雪 仏画の世界」を出版しました。インドと信州の「縁」が重なり、野生司香雪画伯顕彰会のメンバーの一人としてこの壁画修復プロジェクトのお手伝いをしております。信州出身の永平寺の高僧・南澤道人老師もこの壁画とは因縁が深いとのことを知り(直接の面識はございませんが)、この仕事のお手伝いしなさいと仏様に導かれたのかもしれないと感じております。 南澤老師には、昨年1128日に現地で工事を始めるに際し、サールナートにおいてインド大菩提会の住職とともに安全祈願の法要を執り行っていただきました。1期の修復工事の模様など、詳しくは顕彰会のホームページをご覧ください。野生司香雪画伯顕彰会ホームページ:https://nosu.info/

 

 ここに9月上旬の香川県高松市でのイベントの案内チラシを同封いたしますので、ご関心のありそうな知人・友人にお知らせいただければ幸いです。コロナ禍の中を本イベントが無事に開催され、修復工事の第2期・第3期が好スタートを切ることが出来ますよう祈念しております。

 

 

 

・フォーラム:9月1日(火)午後1時30分~午後4時(開場:午後1時) 

・作品展・写真展:9月1日(火)~6日(日)午前9時~午後5時

会場:香川県立ミュージアム(特別展示室・講堂)


ごあいさつ

   大正から昭和初期、郷土香川から多くの美術家が輩出しました。昭和7年、インド釈尊初説法の聖地サールナート(鹿野園)の初転法輪(ムーラガンダクティ・ビハーラ) 日本の画家を代表して派遣され仏伝壁画を描き、今では壁画と共にその名が世界的に知られる日本画家野生司香雪(本名述太)もその一人でした。

  初転法輪寺は、インドでの仏教復興を志すスリランカのダルマパーラが建立し壁画の揮毫を日本に依頼。アジャンタ壁画模写経験もある香雪が助手と共に渡印、制作の長期化による資金不足を個展で絵を売り克服するなどして足掛け5年がかりで完成させ市民からも感謝され、日印文化交流に貢献しました。今になるとインド、仏教史上の偉業であり、日本の誇りです。

  その壁画も制作開始から88年、剥落が進み管理者インド大菩提会(マハボディ・ソサエティ)は作家の国日本の手で壁画・芸術作品の保存修復をと長年呼びかけ続けており、応えて昨年から顕彰会が全国に募金を呼び掛け保存修復活動を始めました。

  仏教の造詣が深く学究肌で孤高な香雪は人物画を得意とする画家でしたが画壇、俗世の名誉とは無縁でした。しかし香雪は選ばれ世界の人々に釈尊の生涯を伝える大業に恵まれました。

今回の展覧会では、まずは香雪が初転法輪寺から持ち帰り大本山永平寺に献納した大下図を初転法輪寺と同じ規模の空間に展示しご紹介、また香雪が生涯に描いた人物画や晩年の労作『釈尊絵伝』等を展示、多様な作品群の片鱗をご紹介します。

併せて、森川輝男写真展では氏が昨年渡印し撮影した現在の初転法輪寺や壁画の様子、寺院周辺の町の風景や人々の暮らし、また近くの聖地バラナシーの沐浴等をご紹介します。

 

 最後に、本展覧会の開催にあたりご後援、ご支援賜りましたインド大使館はじめ関係機関各位、また快く作品をお貸し下さった大本山永平寺様、(公財)仏教伝道協会様はじめご遺族、所蔵家の皆様に深く感謝お礼を申し上げます。

 

                       令和29月 

 

                     野生司香雪画伯顕彰会 

 

『野生司香雪とサールナートの仏伝壁画』展覧会とフォーラム全体計画 期間:令和2年 91() ~96()会場:香川県文化会館  

20200417 

ーインドと日本をつなぐ郷土の画家― 野生司香雪とサールナ

ートの仏伝壁画』         主催 野生司香雪画伯顕彰会

事  業  項  目

協力ボランティア支援(予定)

備考

1.展覧会

■県民ギャラリー

2階ロビー、展示室

3階展示室

①写真展 (2F展示室)

テーマ『聖地インド・香雪とサールナート』

写真家 森川輝男 ―20199月撮影―

※初転法輪寺の壁画や寺院周辺の風景を写真で紹介。

■香川県美術家協会

■香川県写真家協会

■高松市文化協会

■徳島文理大学博物館学生

 

―参考(予定)

■インド観光局所有の

ポスター(大使館も有)

■仏教伝道協会下図7

②香雪紹介コーナー (2階ロビー)  香雪の生涯をパネル等で紹介

■会期 9/1(6()

  

 

(開展式?  9/1   9:00)

③野生司香雪展(3F展示室) ※作品リスト6月末に決定予定

  ①「窟院の朝」六曲一双屏風(県立ミュージアム) (借用交渉予定)

②「黄泉路」(遺族) 

③県内にある作品(三村、法恩寺、金乗寺他)

④初転法輪寺の原画(永平寺申請中6月中旬審査会審議予定) 

・展示作業補助

・展示室の監視・誘導

 

 

2.フォーラム  

3階 講堂

■開催日 

9/1() 13:00

テーマ『インドと日本・野生司香雪の仏伝壁画の背景』        

・あいさつ インド大使(依頼予定) 

・「タゴール・天心から香雪までの日印芸術家交流」

大木礼子 さくら市ミュージアム・荒井寛方記念館学芸員

・「聖地サールナートとインドから見た仏伝壁画()

Dr.シッダルト・シン  インド大使館ヴィベーカナンダー文化センター所長

・「野生司香雪の生涯とサールナートの仏伝壁画」

溝渕茂樹 元徳島文理大学非常勤講師・元香川県文化会館学芸員

・質疑応答

・閉会あいさつ  生田会長

 

受付

・司会

・進行

・放送係

 

 

4.日印交流会 (検討中)    ①香雪関係、少人数で開催②広く一般も参加

 

 

 

ボランティア (依頼予定)=高松大学、徳島文理大学、香川県美術家協会、香川県写真家協会、高松市文化協会、高松、高松東ロータリークラブ、高松工芸同窓会


日印協会 「月刊インド」2020年10月号

     「サールナート(鹿野苑)に日本人画家を招いたダルマパーラ」